表面利回りと実質利回りの違い、そして本当の手残り
更新・約6分で読めます
この記事のまとめ
- 表面利回りは「満室の家賃 ÷ 物件価格」。経費も空室も入っていない、いちばん大きく見える数字です。
- 実質利回りは、経費と買うときの諸費用まで入れた数字。例では8.0%が約5.0%になりました。
- 手残りは、ローンの返済まで引いたお金。同じ物件でも返済期間で、プラスにもマイナスにもなります。
- 物件をくらべるときは、3つの数字を同じ条件で並べるのがおすすめです。
表面利回りは「満室の家賃 ÷ 物件価格」
物件の広告によく書いてあるのが表面利回り(グロス利回り)です。1年分の満室の家賃を、物件価格で割って出します。計算がかんたんで物件どうしをくらべやすい一方、管理費や税金などの経費、空室、買うときの諸費用は入っていません。
この記事では、同じ1つの物件で、表面利回り・実質利回り・手残りの3つを順番に計算します。数字が少しずつ小さくなっていく様子を見ると、それぞれの数字が何を表しているのかがよく分かります。
計算例
例 価格3,000万円・4室・家賃 月5万円
- 満室の家賃: 5万円 × 4室 × 12か月 = 240万円
- 表面利回り: 240万円 ÷ 3,000万円 = 8.0%
実質利回りは、経費と諸費用まで入れた数字
実質利回り(ネット利回り)は、家賃から1年の経費を引き、物件価格に買うときの諸費用を足した金額で割ります。ここでは空室も見込んで計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 管理委託費(家賃の5%) | 12 |
| 固定資産税・都市計画税 | 18 |
| 火災保険・地震保険 | 3 |
| 修繕・退去のときの原状回復 | 15 |
| 共用部分の電気・清掃など | 6 |
| 合計 | 54 |
計算例
入居率90%・諸費用を物件価格の7%(210万円)とした場合
- 入ってくる家賃: 240万円 × 90% = 216万円
- 経費を引いた収入: 216万円 − 54万円 = 162万円
- 実質利回り: 162万円 ÷(3,000万円 + 210万円)= 約5.0%
表面8.0%の物件が、実質では約5.0%になりました。空室を見込まずに計算しても(240万円 − 54万円)÷ 3,210万円 = 約5.8%です。広告の数字と実質の数字には、これくらいの差があることがめずらしくありません。
手残りは、ローンの返済まで引いたお金
ローンを使って買う場合、本当に手元に残るのは、経費を引いた収入からさらに返済(利息と元金)を引いたお金です。頭金200万円と諸費用210万円を自分で出し、2,800万円を金利2.5%で借りたとして、返済期間だけを変えてみます。
| 25年で返す | 20年で返す | |
|---|---|---|
| 1年の返済額 | 150.7 | 178.0 |
| 経費を引いた収入 | 162.0 | 162.0 |
| 税引前の手残り | 11.3 | −16.0 |
同じ物件・同じ家賃でも、20年で返すと1年に16万円の持ち出しになります。25年なら1年に11.3万円(月に約9,400円)のプラスです。ただしこれは税金を引く前の数字で、大規模な修繕や家賃の下落、金利の上昇があれば、さらに変わります。自分で出した410万円に対する手残りの割合(CCR)は、25年の場合で約2.8%です。
計算例
金利が1%上がったら(25年で返す場合)
- 金利2.5% → 1年の返済 150.7万円 → 手残り 11.3万円
- 金利3.5% → 1年の返済 168.2万円 → 手残り −6.2万円
変動金利で借りている場合は、金利が上がったときの手残りも一度計算しておくと安心です。
利回りを見るときに気をつけたいこと
- 広告の家賃は「満室で、今の家賃のまま」が前提のことが多いです。いま空いている部屋の家賃が、まわりの相場より高く書かれていないかも確かめましょう。
- 買うときの諸費用には、仲介手数料、登記の費用、ローンの手数料、火災保険、あとから届く不動産取得税などがあります。
- 築年数がたつほど、修繕や設備の入れ替えの費用、家賃の下落を見込んでおく必要があります。
3つの数字を、同じ条件で並べる
- 表面利回り: 物件を探すときの最初のふるい分けに。
- 実質利回り: 経費と諸費用を入れて、物件そのものの力をくらべるときに。
- 手残り: 借り方まで入れて、毎月の家計に無理がないかを確かめるときに。
CCR(自己資金に対する手残りの割合)は、「自分で出したお金が、1年でどれだけ戻ってくるか」を表します。例では410万円を出して1年に11.3万円なので約2.8%、出したお金が手残りだけで戻るまでに36年ほどかかる計算です。利回りが同じでも、頭金を増やすと返済が減って手残りは増えますが、CCRは下がることもあります。
どれか1つの数字だけで良し悪しを決めず、表面利回りで候補をしぼり、実質利回りで物件の力をくらべ、手残りとCCRで自分の借り方に合うかを確かめる、という順番で見ると迷いにくくなります。
経費の見込みは物件によって違うので、固定資産税の額や管理費は、できるだけ実際の資料の数字を使いましょう。
KURANOMI
大家さんの収支と管理を、ひとつに。
くらの実なら、無料プランで物件を買う前の利回りと手残りを計算できます。会員登録だけで、カードの登録はいりません。
無料プランは会員登録だけ・カードの登録はいりません。有料プランは6日間無料でお試しできます。